抄録
症例は73歳男性.左肺野に結節影を認め増大傾向があるため当科に紹介となった.胸部CTで左肺舌区に境界明瞭な結節を認め,5ヵ月間に長径10~20mmに増大した.開胸肺生検を行い肺軟骨性過誤腫と診断された.1年後の胸部CTで左S1+2に小結節が再出現した.7ヵ月の経過観察後,結節は長径20mmに増大し近傍に小結節が新たに出現した.左肺部分切除術を施行,病理組織検査では多発性肺軟骨性過誤腫と診断された.6ヵ月後の胸部CTでは両肺に多発性の結節が出現,右副腎には巨大な腫瘍が出現した.針生検を行い右副腎腫瘍は骨肉腫と診断された.前回切除した肺腫瘍を再検討した結果,同様の組織像であった.術前の画像からは肺以外には病巣を認めないことより肺原発骨肉腫と診断が訂正された.肺原発の骨肉腫は極めて稀な疾患であり,最終診断に至るまで苦慮したので報告する.