日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
末端肥大症に伴う縦隔内甲状腺腫の1例
門磨 聖子尾関 雄一亀田 光二中山 健史橋本 博史前原 正明
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2013 年 27 巻 4 号 p. 511-516

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抄録
症例は,59歳女性.下垂体腺腫の手術後25年目に肺癌検診で発見された気管狭窄を伴う縦隔内甲状腺腫に対し,胸骨正中切開により腫瘍摘出術を施行した.MRIで下垂体腺腫の再増大を認め,血清成長ホルモン(GH),血清インスリン様成長因子-I(IGF-I)の上昇を認めた.下垂体腺腫の再発によって血清GHが上昇し,これに伴う血清IGF-Iの上昇により甲状腺濾胞細胞の増殖が促されることによって甲状腺腫が増大したことが考えられた.術後にオクトレオチドの投与を継続しつつ経過観察中であるが良好な経過を得ている.末端肥大症に甲状腺腫が比較的多く合併することは知られているが,本症例のように気管狭窄を生じるほどの腫大を認める例は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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