抄録
西宮にはリン濃度が極めて高く,鉄濃度が低い「宮水」と呼ばれる特徴的な地下水が存在する。宮水は酒造りに適した水とされており地下水の資源としての重要性は高い。宮水の成因は古代入海時代の堆積物中のプランクトン又は海藻の溶解によるものと説明されている(e.g,Sumikawa,1990)。しかし,宮水が局所的に存在することや,各成分の挙動の違いなど未だに理解されていない点がある。神戸市東部は宮水地域と同じように六甲花崗岩に由来する堆積物から成り立っている。そこで神戸市東部の地下水,湧水,河川水中の主成分及び希土類をそれぞれ分析し,それらのデータと西宮地域のデータ(e.g,Otuka and Terakado,2003)の比較により,宮水及びそれ以外の地下水の成因について検討する。