2018 年 32 巻 5 号 p. 564-567
乳児の急性膿胸は比較的稀であるが,中でも内科的治療に抵抗性を示す乳児の膿胸に対して手術を施行したという報告は非常に少ない.今回我々は手術療法で根治し得た生後2ヵ月児の急性膿胸の1例を経験したので報告する.症例は生後2ヵ月の男児.38週6日に帝王切開で出生.出生時の異常所見なし.生後2ヵ月頃より咳嗽,鼻汁を主訴に近医で加療されるも改善せず,発熱,哺乳不良を呈したため当院小児科へ紹介.胸部CTで多量の右胸水貯留および右肺の虚脱,右肺下葉の空洞性病変を認め,肺膿瘍の穿破による膿胸が疑われた.人工呼吸管理の上,抗生剤投与および持続胸腔ドレナージを開始したが,十分な肺の拡張が得られず手術を施行した.胸腔内掻爬および洗浄,肺剥皮術を施行した上で,右肺下葉の空洞性病変を切除した.手術を契機に解熱および肺の十分な拡張が得られ,人工呼吸管理の離脱が可能となった.その後は順調に経過し術後第21病日に退院した.