日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
術前治療後に胸腔鏡下左上葉切除に続きtransmanubrial approach(TMA)で切除した肺尖部浸潤肺癌の1例
三和 健藤原 和歌子城所 嘉輝荒木 邦夫谷口 雄司中村 廣繁
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2018 年 32 巻 5 号 p. 573-579

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抄録

症例は65歳男性.主訴は嗄声,左肩痛.左肺扁平上皮癌の診断で,前医より紹介となった.第一肋軟骨,縦隔,左腕頭静脈に浸潤する左肺尖部浸潤肺癌(cT4N0M0 IIIA)の診断で,術前化学療法と同時放射線治療(66 Gy)を施行してPRとなり,手術を施行した.肺門は放射線照射外のため,まず右側臥位で胸腔鏡下に胸壁浸潤部の肺切離と左上葉切除+ND2a-2を施行後,仰臥位でtransmanubrial approach(TMA)を施行した.組織肥厚は著明であったが,左腕頭動静脈を温存,第一肋軟骨,内胸動脈,縦隔脂肪,迷走神経,横隔神経を合併切除して腫瘍を切除した.手術時間はVATS 173分,TMA 168分,出血量70 ml,最終病理Ef3でypT0N0M0,合併症はなく術後7日目に退院した.難易度が高い術前治療後の肺尖部浸潤肺癌に対し,低侵襲アプローチ併用の拡大手術は,安全で有用な手技と考えられた.

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