2018 年 32 巻 7 号 p. 799-803
症例は64歳男性.検診で胸部異常陰影を指摘され,扁平上皮癌cT3(pm)N1M0 stage IIIAの診断で手術目的に入院となった.右中下葉切除術及びリンパ節郭清を行い,術後病理で腺癌部分と扁平上皮癌部分を認めたため,遺伝子検査を行ったところ両組織型ともEGFR遺伝子のL858R変異に加えてT790M変異を認めたが,腺癌に認められたP53の遺伝子変異が扁平上皮癌部分には認められず,同時性多発肺癌(扁平上皮癌cT2N0M0 stage IIA 腺癌cT1cN1M0 stage IIB)と診断した.術後経過観察中に脳転移と肺転移を認めオシメルチニブの内服を開始.術後1年10ヵ月を経過し生存中である.EGFR遺伝子変異の中でT790M遺伝子変異は獲得変異が大多数を占め,de novoの発生は少ないため,報告する.