日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
術前に胸壁悪性腫瘍が疑われた肋間筋血管腫の1例
櫻田 明久鈴木 繁紀大城 雄基濱田 賢一風間 暁男
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キーワード: 胸壁腫瘍, 肋間筋血管腫
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2021 年 35 巻 7 号 p. 779-785

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抄録

【背景】胸壁血管腫は胸壁腫瘍の1%程度とされ,特に肋間筋血管腫は血管腫全体の0.01%と極めて稀である.【症例】54歳女性.検診CTで左第3,4肋間に3.0 cm大の胸壁腫瘤を指摘された.PET-CTではSUVmax:2.3の集積を認め,CTガイド下針生検を施行したが悪性所見は認めず,経過観察となった.2ヵ月後の経過で明らかな増大傾向は認めなかったが,デスモイド腫瘍などの悪性腫瘍を鑑別に挙げ,診断的治療目的に腫瘍摘出術を施行した.鏡視下で,病変は青紫色の壁側胸膜外の多房性結節として観察された.術中迅速病理診断では悪性所見を認めなかったが,肋間筋血管腫は局所再発例も報告されているため,第3肋骨を含めた胸壁切除を行った.最終病理診断では肋間筋血管腫の診断であった.【結語】肋間筋血管腫は術前に確定診断が得られない場合が多いが,術前の画像所見から血管腫を鑑別診断に挙げることと,腫瘍の完全切除が重要である.

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