日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
重症筋無力症合併胸腺腫と重度僧帽弁閉鎖不全症に対する一期的合同手術
三和 健宮本 竜弥齋藤 雄平角 尚紀中村 廣繁
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キーワード: 胸腺腫, 同時手術
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2021 年 35 巻 7 号 p. 791-794

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抄録

胸骨正中切開が必要な縦隔腫瘍と心疾患の一期的手術は稀である.症例は72歳,女性.主訴は労作時の息切れ.精査で重度の僧帽弁閉鎖不全症と診断され,胸部CTで前縦隔に57 mm大の腫瘍を認めた.胸部造影MRIで左腕頭静脈への浸潤が疑われた.抗AchR抗体が高値で精査にて重症筋無力症(MGFA IIB)と診断された.重症筋無力症に対する治療開始後に一期的手術となった.まず当科で胸骨正中切開にて拡大胸腺全摘術を施行した.腫瘍は左腕頭静脈への浸潤を認め,部分合併切除後に形成した.腫瘍の迅速病理診断はB3型胸腺腫であった.以降回収血使用可能とし,心臓外科にて僧帽弁形成および三尖弁輪形成術を施行した.合併症なく術後14日目に退院.病理診断はB3型胸腺腫で左腕頭静脈への浸潤,リンパ節への多発転移を認めた.抗癌剤による心毒性,放射線治療による心膜炎を懸念して,術後補助治療は施行せず厳重経過観察となった.

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