日本呼吸器外科学会雑誌
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自然気胸に対する外来治療
Tru-Close Thoracic Ventの有用性についての検討
坂本 和裕沖田 将人土田 知史
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2001 年 15 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

当院で1年間に簡易型気胸ドレナージキット (ソラシックベント) を使用した自然気胸患者のべ63例を対象に, その有用性を検討した.年齢は16-76 (平均31.9) 歳, 男性54例, 女性9例, 右23例, 左40例, 初発42例, 再発21例であった.初発42例中30例 (71.4%) は外来通院のみで改善した.再発例では術前の入院期間短縮に有効であった.全例 (63例) 中4例に持続吸引が必要となり, うち排液による閉塞, 強度肺痩によりそれぞれ1例はトロッカーに交換した.チューブの折れ曲がりによる閉塞や自然抜去は認めず, 1例で軽度の再膨張性肺水腫を起こした以外に重大な合併症も認めなかった.外来でのソラシックベント挿入期間はのべ291日で, その間の入院期間の節約が可能であった.ソラシックベントは初発自然気胸症例においては外来治療として, また再発症例においては入院手術までの間の外来ドレナージ管理として有用と考えられた.

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