日本呼吸器外科学会雑誌
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抗酸菌症治療中に発見された肺癌手術症例の検討
船越 康信前田 元早川 正宣澤端 章好奥村 好邦
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2001 年 15 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

近年, 抗酸菌症合併の肺癌症例が増加する傾向にある.1990年以降の10年間に当院にて活動性の抗酸菌症治療中に発見された肺癌手術症例を10例経験した.内2例は非定型抗酸菌症であった.10例の平均年齢は61歳 (47-68歳) で, 全員男性であった.10例全員に喫煙歴を認めた (B.I.550-2, 000).肺癌の組織型は扁平上皮癌7例, 腺癌3例であった.内4例に術前後に重複癌を認めた.臨床病期はIA期4例, IB期2例, IIB期1例, IIIA期3例であり, いずれも十分な抗結核薬治療を行った後に手術を施行した.手術は肺葉切除7例, 肺葉切除+胸壁合併切除1例, 肺全摘1例, 部分切除1例であった.術後抗酸菌症の再燃は認めず, 死亡は手術死1例, 癌死4例の計5例であった.抗酸菌症罹患者は肺癌発生の頻度が高いとされ, 常に両者の合併を念頭に置いて治療しなければならない.

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