抄録
稀な非定型抗酸菌症を伴った肺分画症の1切除例を報告する.症例は43歳男性で, 近医にて右肺下葉に嚢胞を伴う非定型抗酸菌症の診断にて治療されていたが, 症状が反復再燃し, 嚢胞内の鏡面像も存在したため, 嚢胞の持続感染を疑い, 当科紹介になった.紹介時点で, 胸部X線写真および胸部CT上, 右肺全体に小葉中心性の結節および細気管支の拡張を認め, Mycobacterium intracellulareの喀痰排菌を認めたため, RFP, EB, clarithromycin (CAM) の3剤併用療法を行った.胸部CTにより肺分画症が疑われたため血管造影を行ったところ, 下行胸部大動脈より右肺下葉嚢胞部に走行する1本の動脈を認め, 肺分画症の診断を得た.右肺浸潤影の軽快を確認し, 手術を施行した.右下葉の嚢胞性病変内は, 隔壁を伴う多嚢胞性で, 黄白色の膿を認めた.分画症病変を含めた右中下葉切除を施行した.