抄録
厚いpeelを有する非結核性急性膿胸に対して, 胸腔鏡下に膿胸壁と臓側胸膜間の剥離を優先した後に肥厚したpeelを安全に切除するアプローチ法 (膿胸腔外側アプローチ法) を行ったので手技と有用性について報告する.症例は59歳と52歳の男性で, それぞれ膿胸発症から38日, 17日目に胸腔鏡手術を施行した.術前から2例とも膿胸壁肥厚が疑われ, 直接膿胸腔に到達するアプローチでは肥厚したpeelのために十分な肺剥皮が困難と考えられた.膿胸壁と臓側胸膜の間を剥離し, 膿胸腔の外側から膿胸壁全体を確認したのち安全に切除した.厚いpeelを有する急性膿胸であっても, 膿胸壁と接する臓側胸膜剥離が可能であれば胸腔鏡手術は十分成功する.