日本呼吸器外科学会雑誌
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肺切除術後の運動能力評価
運動負荷試験を加えた呼気ガス分析
永松 佳憲小野 博典都志見 睦生松尾 敏弘平木 啓正林 明宏足達 明林田 良三掛川 暉夫
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1993 年 7 巻 7 号 p. 770-775

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抄録

今回, 運動負荷試験を加えた呼気ガス分析で, 肺切除術後の日常生活における運動能力の評価が可能であるか否かについて検討した.1989年11月より1991年10月までに肺切除術が行われ, かつ術後に, 運動負荷試験を加えた呼気ガス分析を行った27例を対象とし, AT, Vo2maxの測定を行い, さらに, AT/m2, Vo2max/m2を算出した.また, 対象症例を, 術後の日常生活には全く支障のない症例をA群, 日常生活に何らかの支障を訴える症例をB群として, 前述したそれぞれの項目について比較検討した.B群においてATとAT/m2はA群に比較して有意 (p<0.001) に低値を示し, かつAT/m2の標準偏差が最も小さかった.Vo2max, Vo2max/m2も同様にB群が有意 (p<0.01) な低値を示した.肺切除術後の運動能力を数値化する目的で, 運動負荷試験を加えた呼気ガス分析を行なったところ, 客観的指標として, 術後比較的早期においてはAT/m2が有用と考えられた.

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