日本呼吸器外科学会雑誌
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肺切除術後の対側気胸の検討
乾 健二レシャード カレッド高橋 豊横見瀬 裕保八木 一之水野 浩青木 稔和田 洋巳人見 滋樹
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1993 年 7 巻 7 号 p. 776-781

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抄録

1980年9月から1992年12月までの間に, 島田市民病院呼吸器科および京都大学胸部疾患研究所胸部外科で4例の肺切除術後の対側気胸を経験した.全例男性で, 年齢は44歳から73歳であった.3例において術前の胸部X線写真または胸部CTで両側に気腫性肺嚢胞を認めた.対側気胸の発症時期は術中が1例, 術後1週間以内が2例, 術後3年11カ月が1例であった.術中発症 (人工呼吸中) の1例をのぞき, 呼吸困難と胸痛が発見動機となった.全例において, 胸部X線写真で対側気胸が確認された.気胸確認後, 直ちに胸腔ドレナージが行われ, 4例中3例は胸腔ドレナージで治癒した.1例では空気漏れが持続したため, 胸腔鏡下にブラ基部の結紮を行い治癒した.肺切除術後の対側気胸の頻度は少ないが, 治療の遅れは予後不良の原因となる.胸腔ドレナージが救急治療して有効であるが空気漏れ持続例では外科治療が必要となる.胸腔鏡下治療は術後の痙痛や呼吸機能の低下が少なく, 肺切除術後対側気胸治療の-つの選択枝となり得る.

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