日本呼吸器外科学会雑誌
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T4肺癌の診断と治療成績
切除例と非切除例との比較
斎藤 誠平栗 俊介瓜生 和人日吉 利光輿石 晴也高橋 秀暢河手 典彦小中 千守加藤 治文
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キーワード: T4肺癌, 切除, 非切除, 予後因子
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1993 年 7 巻 7 号 p. 782-788

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抄録

T4肺癌の切除例60例と非切除例137例を比較し, T4肺癌の診断, 治療成績, 予後因子を検討した.切除例で術前T4と診断し得たのは16例 (26.7%) のみで, 逆にcT4と診断し手術を行ったうちの19例中16例 (84.2%) がpT4であった.術前後のN因子の一致した症例は60例中26例 (43.3%) で, 術前の過小評価を同数に認めた.切除例全体の5生率は13.9%で, 非切除例は8%であった.術後3年以上生存した7例はN, M因子が低く, 全例単一臓器浸潤であり, 術後補助療法が行われていた.術前後の因子はcN3および根治性と予後とに差を認めたが, 組織型, 胸膜播種, pm, 拡大合併切除, 放射線治療の有無との関係は認められなかった.
非手術例の治療成績と対比した場合, 現時点では, 術前の悪性胸水を除き, 開胸時の播種を含むcT4, cNO-2, cMO-1 (切除予定肺のPM) は手術適応と考えられた.

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