1993 年 7 巻 7 号 p. 793-797
右心横隔膜角部に発生した心膜嚢腫を胸腔鏡下に完全切除した.症例は54歳, 男性.検診で胸部異常陰影を指摘され, 諸検査で心膜嚢腫の診断で胸腔鏡下切除を行った.患者を左半側臥位とし, 右第4, 5, 6前腋窩線上と第5肋間鎖骨中線上からそれぞれ surgi port を挿入した.嚢腫を穿刺し, 内容液を約半分程度排液した後に, 頭側より順次電気凝固を行い, 心膜嚢腫を完全切除した.心嚢腔との交通はなかった.手術時間は120分で, 薬剤性肝障害のため退院は術後14日目であったが, その他の合併症はなかった.胸腔鏡下手術は侵襲も少なく, 一般の開胸手術に比較して手術時間も短く有用な術式と思われる.