日本呼吸器外科学会雑誌
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脊椎前方固定術後の難治性乳糜胸の1治験例
乾 健二横見瀬 裕保高橋 豊八木 一之水野 浩青木 稔小田 伸吾清水 克時和田 洋巳人見 滋樹
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キーワード: 脊椎前方固定術, 乳糜胸
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1993 年 7 巻 7 号 p. 803-808

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抄録

症例は45歳, 女性.1992年8月, 第1腰椎破裂骨折の診断で上部腰椎前方固定術 (Th12-L3) を受けた.術後2週より左胸水が増加したため9月20日当科を受診.胸腔穿刺で白濁した胸水をみとめ, 検査の結果乳糜胸と診断した.胸腔ドレナージ, 絶食・IVHを4週間施行したが治癒しなかった.同年10月30日再開胸した。Th11の左側方で前方固定器のスクリューが胸腔内に露出しており, この軸に沿って透明な液が湧出していた.露出したスクリューを覆うように横隔膜と壁側胸膜を縫合固定し, 同部にフィブリン糊を重層し閉胸した。術後1週間の絶食後, 経口摂取を再開したところ乳糜胸が再発した.さらに2週間絶食とし, 2回のドレナージを用いての胸膜癒着術を行い治癒した.後腹膜腔で胸管を損傷し, 乳糜が前方固定器に沿って胸腔内に流入したことが原因と思われた.整形外科関連での乳歴胸の報告はきわめて少ないため今回報告した.

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