症例は53歳, 女性.1990年, 検診にて左S6領域に空洞を有する腫瘤陰影を指摘され当院を受診した.外来にて3回気管支鏡検査を施行したが, 確診は得られなかった.増大傾向が認められるため悪性疾患も否定できず手術を施行した.組織学的には, 原因不明の壊死性肉芽腫と血管炎の所見から, Wegener肉芽腫症と診断された.術前より血尿が認められており, 腎病変も存在していたと思われた.術後に施行した腎生検では軽度のmesangial cellの増加を認めた.術後2ヵ月目に, 多発性の肺病巣が出現したため, サイクロフォスファマイド100mg/dayを経口投与したところ著効を認めた.術前より認められた血尿もサイクロフォスファマイドにより軽減した.