抄録
本稿では、小学校1校で行なった小学生と留学生との交流活動を事例として、「国=文化=人」という考え方を乗り越えることを目的とした交流活動について報告するとともに、交流活動を通して「集団」と「個」が小学生によってどのように認識され、さらにどのような意識が交流活動の中で生まれたのかを議論、共有することを目的とする。
具体的には、1)留学生との味噌汁の調理実習、2)留学生の出身国の食べ物についての発表、3)新しい味噌汁の考案という活動を行なった。本交流活動では集団内の多様性に焦点を当てた活動を行なうことで、従来の交流活動が抱えていた課題を乗り越えられる可能性が示唆されたが、今後、内容や方法をさらに検討することにより、特に自集団と他集団を包括する視点を得るという観点から、より具体的な効果を提示していく必要があると考えられる。