本報告の目的は,学士課程教育の質保証を実現するための予備的作業として,学科名に基づくカリキュラムの類推可能性を論じることである.日本では1990年代以降,学科名の多様化や学位の国際的通用性が問題視されているものの,それらが実際のカリキュラムとどの様な関係にあるのかを確かめようとする試みは乏しい.そこで本稿では,学生募集や定員管理の基本単位である「学科名」,学位に付記する専攻分野の名称に相当する「学位名」,並びに文部科学省による学科系統分類表の「中分類」の対応関係を,4年制学士課程に係る網羅的なデータセットに依拠しながら整理し,類推可能性を論じるための分析の対象および方法について検討する.