2024 年 46 巻 2 号 p. 86-91
近年,汎用的/分野横断的な能力の育成が高等教育の課題となっている.本研究では,ミネルバ大学についてのケーススタディで得た知見をふまえて,日本の学士課程教育における汎用的/分野横断的能力の育成可能性を探るために,清泉女子大学文学部地球市民学科,国際基督教大学,桜美林大学リベラルアーツ学群,新潟大学創生学部という4つの組織のカリキュラムの比較を行った.その結果,この4組織はそれぞれに独自な特徴をもちつつも,一般教育で汎用的能力を育成し,専門教育の中で専門分野の学修と平行して分野横断的能力を培い,最後に一般教育・専門教育の仕上げ・統合的学習として卒業論文等に取り組むという緩やかな共通性をもっていることが浮き彫りになった.一方,広さ(汎用性/分野横断性)と深さ(専門性)のバランスをどうとるか,研究大学や理工系分野など今回の事例とは大学タイプや分野の異なる場合に今回得られた知見がどの程度有効であるかなど,今後の検討課題も明らかになった.