2004 年 16 巻 1 号 p. 49-59
本論では2001 年10 月に公布し、翌年1月1日に実施した「中華人民共和国海域使用管理法」を中心に、中国における海域利用管理制度の特徴と意義、ならびにその課題について考察することを目的としている。海域使用ニーズの増大と産業部門間調整の必要性ならびに海洋環境保護の必要に迫られて作られた当管理法は8章54条から構成される。本管理法ははじめて海面の国有化を宣言し、国有化による政府の一元的管理のもとで、ゾーニング制度の導入、海域使用権制度の導入、海域の有償使用、海域使用権取得におけるセリ・入札売買制度の確立などを柱とした制度的特徴を有している。それは紛れもなく政府の効率的な管理と市場メカニズムの導入をめざしたものである。しかし、この管理法では法執行の効率性と公平性の視点から、管理主体の非効率性や使用権取得の不公平性、さらには環境保護に関する不十分な制度的規制といったような課題もみられ、その改善が必要である。