抄録
本研究レポートでは、コーチングという言葉の始まりが、ハンガリーのコチという街で作られた馬車が語源になっていることや、その歩みについて、ガルウェイやレナードの著書を引用しつつ「対話により、クライアントの自己実現を目指す支援の在り方としてのコーチング」という考え方に至った経緯を明らかにした。また、日本におけるコーチングがどのように広がったのかを、国立国会図書館のデータベースから検討し、スポーツ分野の1980年代までのコーチのイメージが日本のコーチングのイメージに影響を与えている可能性や教育分野におけるコーチングの関心の高まりを明らかにした。その後、コーチングの歩みを概観した際に出てきた「ネイティブコーチ」に関する疑問から、筆者の関心ある教育分野において、ネイティブコーチのいるクラスでは、子どもの思考力・表現力に差がみられるということを質的・量的に検証するという、コーチングの研究手法への新たな可能性があることを示唆した。