支援対話研究
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3 巻
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  • -不妊治療経験者の視点から-
    秋月 百合
    2016 年 3 巻 p. 3-14
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    目的:本研究の目的は、不妊治療現場において、患者が求める医師および看護師への支援内容を質的に明らかにすることである。 方法:機縁法にて研究協力の承諾を得た不妊治療経験者の女性34名を対象に、自由記述式調査票にて、医師および看護師に希望する支援内容を記述してもらった。意味内容の類似しているオリジナルデータをカテゴリー化することで、質的に分析した。 結果:医師に求める支援内容として、【個々の患者に最適な治療の実施】【具体的でわかりやすく十分な説明にもとづくインフォームドコンセント】【専門家としてのリーダーシップを持ち合わせた患者との協同的コミュニケーション】【事務的でなく、患者個人への関心に導かれた親身な態度での診療】の4つのカテゴリーが抽出された。一方、看護師へ求める支援内容としては、【人間的温かみをもった気遣いのある対応】【受容的態度にもとづく心理的援助】【医師-患者間コミュニケーションの支援】【処置などに関する十分な説明】の4つのカテゴリーが抽出された。いずれのカテゴリーも1つから複数のサブカテゴリーで構成されていた。 結論:本研究により、不妊治療現場における医師および看護師に求められる支援内容が、患者の視点から明らかになった。必ず妊娠に至る保証のない不妊治療の現場において、これらの結果を医師と看護師が協働しながら患者支援に生かしていくことで、患者の心理的安寧に少しでも寄与することができるのではないか。
  • 高等教育と職域の架け橋として
    木内 敬太
    2016 年 3 巻 p. 15-29
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、成人の発達障害者の支援においては、高等教育、職域ともに、これまでの障害者を見守り、支えるという支援だけでなく、障害者の個性を活かし、活動能力を高めるための積極的な関わりが、支援を行う専門家と、教職員や管理監督者などの非専門家の双方に求められるようになってきている。そこで、クライアントの強みに目を向け、活動能力を高めることに焦点を当てた対話的支援法であり、障害者と関わる非専門家の研修にも応用できる、コーチングへの期待が高まっている。すでに欧米では、発達障害者に対するコーチングの実践と研究が進んでいる。本稿では、ADHD、自閉症スペクトラム障害、学習障害、境界性知的機能を取り上げ、障害の特徴と大学や職場での困難について記述するとともに、各障害に対するコーチングの有効性と日本における発達障害者へのコーチングに関する今後の課題について論じた。発達障害者が他の人々と同等に自立した生活を送れるようにするためには、コーチングにより、修業、日常生活、就職、就労の一貫した支援を行うことが重要である。我が国においてそのような体制を確立するためには、発達障害者へのコーチングの有用性と必要性についての啓発、実践家の養成、発達障害者へのコーチングの効果研究、非専門家のコーチング技能習得の有効性の研究を進める必要がある。
  • リーダーシップの視点から
    網 あづさ
    2016 年 3 巻 p. 30-39
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    現代社会は、なにが善くてなにが悪いのか、貧困、格差、自殺、詐欺、金融危機、テロ、異常気象など、混沌としている。このような世の中で、リーダーシップを、強者と弱者、win-winやwin-loseのように自分と他者の利益を区別する二者択一の枠組みでとらえていると、強者や勝者は「自分さえよければいい」、弱者や敗者は「他人事のリーダーシップ」を語るだけになってしまう。本稿では、「内包的な自分」という概念を提言し、自分を取り巻く環境を運命共同体プラットフォームととらえ、そして、「意識していない層」にある欲求を「存在層アジェンダ」ととらえる。現代社会の問題を解決する方法として、「内包的な自分」が「存在層アジェンダ」を探求し実践する「自分事のリーダーシップ」を提言する。
  • 松島 桂樹
    2016 年 3 巻 p. 40-51
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    現代のような複雑で変化の激しい時代においては、経営者や実務者も、事業の遂行にあたって、知識の習得、更新に大きな努力を払わなければならない。そして、企業も個人も、一社あるいは一人で事業を遂行するということは非生産的であり現実的ではない。そのためにコンサルタント、中小企業診断士、公認会計士など専門知識を持つ多くの支援専門職が存在する。その需要はますます高まっているが、育成には多くの課題がある。  本論文では、知識社会における新しい支援専門職のありかたについて、知識移転を中心とするティーチング型支援から気付き創発を重視するコーチング型支援への転換を考察する。
  • 会議変革を加速する新たな視点
    坂上 浩
    2016 年 3 巻 p. 52-60
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    会議はあらゆる組織で日常行われているが、「意味が無い」「良い結論が出ない」等問題が多く指摘されている、これを背景に会議変革を行うアプローチが多くの書籍により提示・紹介されているが、残念ながら大きな成果を生んでいる事例を耳にしない。そこで、書籍等で紹介されているアプローチの抱える問題点を明らかにした上で、問題点を克服する為の新たな視点を模索する。そして新たな視点から、ミーティングコーチという会議運営上の新たな役割を導入するアプローチの採用を提言する。
  • ~歴史の整理と教育分野におけるネイティブコーチの新たな可能性~
    山本 淳平
    2016 年 3 巻 p. 61-70
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究レポートでは、コーチングという言葉の始まりが、ハンガリーのコチという街で作られた馬車が語源になっていることや、その歩みについて、ガルウェイやレナードの著書を引用しつつ「対話により、クライアントの自己実現を目指す支援の在り方としてのコーチング」という考え方に至った経緯を明らかにした。また、日本におけるコーチングがどのように広がったのかを、国立国会図書館のデータベースから検討し、スポーツ分野の1980年代までのコーチのイメージが日本のコーチングのイメージに影響を与えている可能性や教育分野におけるコーチングの関心の高まりを明らかにした。その後、コーチングの歩みを概観した際に出てきた「ネイティブコーチ」に関する疑問から、筆者の関心ある教育分野において、ネイティブコーチのいるクラスでは、子どもの思考力・表現力に差がみられるということを質的・量的に検証するという、コーチングの研究手法への新たな可能性があることを示唆した。
  • 重田 孝夫
    2016 年 3 巻 p. 71-81
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    目標管理制度を導入している組織の多くでは、目標の達成度を昇給や賞与にリンクさせれば、それによって動機づけが図られるだろうというだけで、内発的動機づけの観点からの考慮が十分でない。目標を設定する面談をしたあと、評価面談までの間に、部署全体の会合は開くとしても、個別に進捗状況に応じた対策を話し合うレビューは中間レビュー1回のみなのが一般的である。これでは、目標や優先課題をノルマのように上から押しつけることがないにしても、評価のための目標管理になってしまう。月毎のレビューを行い、その月の取り組み課題を特定する際にも部下の自律性を確保し、さらに、目標達成に向けての前進や行動のレベルアップを毎月確認してあげれば、関係性と有能感を高めることができる。月次レビューで、進捗が遅れている場合には、どうしたらよいかを具体的に検討し、必要に応じて上司が支援することで、関係性はさらに向上する。結果として、職場での信頼関係が強化され、よりよい対策が展開され、業績の向上につながる確率が高まるだろう。日常のマネジメントでは、時間的制限がある中で業績を重視するあまり、細かい指示を出したり、自ら率先垂範する管理者が少なくない。もっと民主的なスタイルで部下の考えやアイデアを聞き出し、能力開発に役立つ取り組みをしてもらいたいと考えていても、それがなかなかできない環境にある。こうした状況は、月次レビューで変えることができる。
  • 松尾 理
    2016 年 3 巻 p. 82-91
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    医療機関での重要な職種である看護師は患者との接触の機会が多く、その配置が医療保険の評価と関係している。今回1法人下の2病院に属する看護関係部署の幹部職員(婦長、師長など)を対象として「スタッフの潜在能力を引き出し活用する」ことを目的として、3回にわたり問題点の抽出、それらの2次元展開ならびに解決策を考えだす研修をワークショップ形式で実施した。この研修中にコーチングの中核的スキルである「良い聴き方」、「良い質問の仕方」および「スタッフを承認する」ことを主体にしたコミュニケーション研修も行った。このコミュニケーション研修は多くの参加者が実践できると反応するほど研修の効果があったと思われる。 研修参加者の意識変化を調査するため、同じ内容のアンケートを研修開始前と終了後に実施し、変化を分析した。その結果、幹部職員の意識として「悪化」したと見られる項目が多数あった。悪化した項目が見られると言う事は、研修によって新たな気づきがあり、そのため現状を厳しく評価した可能性がある。
  • セグウェイを使った活動の事例
    金久保 紀子
    2016 年 3 巻 p. 92-107
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    経済産業省の社会人基礎力に代表されるような社会からのニーズに影響を受け、大学教育での育成すべき力についての議論が活発になっている。一方で、大学生の自己評価が低いことは問題視されている。本稿では、成績評価だけではなく、大学生が自分の成長に気づき、意識化することの重要性を指摘し、学外での経験を通して、大学生の自己評価がどのように変化するかを分析する。筑波学院大学が必修授業として行っているオフ・キャンパス・プログラムを紹介し、その中で特徴的なセグウェイを使った活動を事例として学生のレポートとインタビューの内容の分析を行った。その結果、学外での経験が肯定的な自己評価によい効果をもたらしていること、さらには、学生が大学での様々な活動を統合して自己評価しようとしていることが明らかになった。大学は学生の様々な学びを個別にではなく、統合して言語化しながら学生と考える仕組みを提供し、自己評価をさらに高める工夫をすべきであることを提言する。
  • 原口 佳典
    2016 年 3 巻 p. 108-118
    発行日: 2016年
    公開日: 2018/01/26
    ジャーナル オープンアクセス
    2014年の10月9日から12月11日まで、北海学園大学経営学部の菅原秀幸教授の承認の下、「グローバル・コーチング・ワークショップ」の名で、大学生にコーチングを習得させるためのプログラムを8回実施した。これはその実践報告である。
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