支援対話研究
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内発的動機づけを高める月次レビューのすすめ
重田 孝夫
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 3 巻 p. 71-81

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抄録

目標管理制度を導入している組織の多くでは、目標の達成度を昇給や賞与にリンクさせれば、それによって動機づけが図られるだろうというだけで、内発的動機づけの観点からの考慮が十分でない。目標を設定する面談をしたあと、評価面談までの間に、部署全体の会合は開くとしても、個別に進捗状況に応じた対策を話し合うレビューは中間レビュー1回のみなのが一般的である。これでは、目標や優先課題をノルマのように上から押しつけることがないにしても、評価のための目標管理になってしまう。月毎のレビューを行い、その月の取り組み課題を特定する際にも部下の自律性を確保し、さらに、目標達成に向けての前進や行動のレベルアップを毎月確認してあげれば、関係性と有能感を高めることができる。月次レビューで、進捗が遅れている場合には、どうしたらよいかを具体的に検討し、必要に応じて上司が支援することで、関係性はさらに向上する。結果として、職場での信頼関係が強化され、よりよい対策が展開され、業績の向上につながる確率が高まるだろう。日常のマネジメントでは、時間的制限がある中で業績を重視するあまり、細かい指示を出したり、自ら率先垂範する管理者が少なくない。もっと民主的なスタイルで部下の考えやアイデアを聞き出し、能力開発に役立つ取り組みをしてもらいたいと考えていても、それがなかなかできない環境にある。こうした状況は、月次レビューで変えることができる。

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2016 一般社団法人日本支援対話学会
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