本論文の目的は,地域理解をテーマとした遠隔型ディベート学習における,ICTツールを利用した学習支援方針の整理,及び対面授業との教育効果比較を通して,効果的な協働・協調的学びの実践を検証することである。本研究が対象とする科目は工学部単科大学の3年次全学必修科目であり,2019年度は対面授業,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響がでた2020年度は遠隔授業で行われた。ここではICTツールを用いたグループワークを行う際,(ア)協働・協調学習の結果を同一スペースに蓄積させる,(イ)学生間の相互作用を促進・可視化させる,(ウ)グループ間の相互作用を促進させる,(エ)協働・協調学習の結果が常時閲覧・編集できる,ことを学習支援方針としオンラインホワイトボードMiroで協働・協調学習の場を確保した。授業終了後に行われた履修者アンケートの因子分析とその下位尺度得点比較の結果,コミュニケーションスキル自己効力感,授業肯定感,協働・協調ストレスの3因子において対面授業より遠隔授業に肯定的結果が得られた。