抄録
発電所を始めとする臨海部のプラント施設においては,津波が沿岸部に来襲した場合,強固な防潮堤によって陸域への海水の流入を防止できたとしても,取放水路,排水路等を介して,開口部から海水が溢れる氾濫によって浸水被害が発生する可能性がある.プラント施設構内には,様々な重要構造物が配置されており,氾濫によるそれらへの影響を的確に把握しておく必要がある.
それを実現するために,ここでは鹿島・中部大学で共同開発した「都市型水害予測解析システム」に,取放水路,排水路等を介して,海水が構内の開口部から溢水するモデルを組み込んだ.本津波氾濫シミュレーションの妥当性を検証するため,発電所構内を想定した水理模型実験を実施し,その再現計算結果と比較したところ,構内の浸水状況に関して良好な一致が確認された.