2017 年 21 巻 1 号 p. 90-96
本研究では, 教育入院患者に行った歯周病に関する教育の効果を明らかにすることを目的に, 教育入院患者13名 (介入群) を対象として, 糖尿病と歯周病に関する知識や口腔内清潔習慣に関する講義演習の介入を行い, 教育入院歴のない外来通院患者15名 (対照群) と比較検討した.
その結果, 介入群では入院当日と比較して3ヵ月後には, 「歯周病は糖尿病の合併症である」 (p<0.05), 「歯周病が血糖コントロールに影響する」 (p<0.01) という知識が有意に向上していた. しかし, 両群ともに歯石除去や歯みがき回数など, 口腔内の清潔習慣については3ヵ月間で有意な変化を認めなかった. 教育入院は糖尿病と歯周病に関する知識の普及に効果的であることが示唆されたが, 口腔内の清潔習慣の改善までには至っておらず, 今後, 行動変容につながるよう, 教育内容や指導の時期を検討していくことが課題である.