日本糖尿病教育・看護学会誌
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実践報告
急性期病院における診療看護師の実践報告
~外来での高齢2型糖尿病患者の肺炎発見から生活に合わせたインスリン治療まで~
廣瀬 久美
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2020 年 24 巻 2 号 p. 121-125

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抄録

我が国では,高度実践看護師である診療看護師(以下.NPと略す)の裁量権の拡大が期待されている.本研究は,日本の急性期病院に在籍するNPの実践(一事例)を通し,その役割について明らかにすることを目的とした.

対象は,80歳代の独居の女性,2型糖尿病にてインスリン強化療法中の患者であった.NPは外来で発熱があったことから感染症を疑い,医師に先行し初療を開始した.その結果,肺炎を発見し,抗生剤の開始と病状説明を行い入院とした.入院後,誤嚥性肺炎と考え,早期に嚥下機能評価を実施した.2型糖尿病に対しては,入院前の血糖値から頻回な低血糖があったことを推測し,インスリン内分泌能を評価後,インスリン自己注射の単位と回数を減じた.その後,肺炎は軽快し,嚥下機能は正常であり,血糖値も安定し,第8病日目に退院した.NPは,病態と生活を包括的にとらえる視点を有することで患者を早期退院に導く一助としての役割を果たしていた.

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© 2020 一般社団法人 日本糖尿病教育・看護学会
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