2020 年 24 巻 2 号 p. 127-134
【目的】診療所の看護師が行う糖尿病腎症重症化予防のための療養支援状況を明らかにすることである.【方法】糖尿病専門医が診療する診療所の看護師を対象に,自記式質問紙調査票を配布し,回収は郵送法とした.【結果】研究対象者91名中77名を分析対象とした.
糖尿病腎症重症化予防のための療養支援をしている者は54.5%で,『身体的・心理的・社会的理解への関わり』『薬物治療時の支援』は,実施割合が高かった.『食事療法時の支援』『運動療法時の支援』では,8割以上の看護師が聴く姿勢を示すなど食や運動習慣を把握するために欠かせない看護技術を用いて実践していた.一方で,患者自身の生活に合わせた具体的な支援や副作用を回避するための具体的支援,患者がセルフモニタリングできるよう支援する内容について実施率が低かった.【考察】診療所の看護師が行う糖尿病腎症重症化予防のための療養支援内容は,同じ患者に継続して関わることのできるメリットを活かし,糖尿病腎症重症化予防のエビデンスとなる血糖や血圧管理に関連する具体的な療養支援内容について実施率を高める工夫が必要である.