日本糖尿病教育・看護学会誌
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実践報告
糖尿病療養指導カードシステムを用いた教育支援法が入院患者に与える心理的負担感情の変化―教育支援前後の比較―
呉屋 秀憲具志堅 美智子
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2022 年 26 巻 2 号 p. 105-109

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抄録

糖尿病療養指導カードシステム(以下,カードシステムと略す)を用いた教育支援法は療養支援提供者側に有益であるとの報告が多いが,支援を受ける側の視点に立った検討はいまだない.今回96名の糖尿病者を対象に本教育支援前後の糖尿病負担感情の変化を調査した.調査方法はProblem Areas In Diabetes Survey(PAID:糖尿病問題領域質問表)を用いて教育支援前後のPAIDスコアをWilcoxon符号付き順位検定にて解析した.

その結果,PAID総スコアの中央値は教育前50.0,教育後42.5と有意に減少した(p<0.001).領域では,Q1.目標がない,Q2.治療が嫌,Q3.糖尿病への恐怖,Q5.食の楽しみ 略奪,Q6.糖尿病と生きる憂うつ,Q7.感情との関連,Q8.糖尿病に圧倒される,Q11.食への執着,Q12.合併症不安,Q14.非受容の10項目において,有意な減少が認められた.糖尿病細小血管症の有る群と無い群の比較において,糖尿病細小血管症無し群および腎症1~2期群において有意に減少した(p<0.001).

カードシステムによる教育支援法は,支援対象者の心理的負担感情の減少に寄与する可能性が示唆された.

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