2011 年 32 巻 4 号 p. 434-442
本研究の目的は,①感情的well-beingの因子構造の集団間での不変性を検討すること,②感情的well-being尺度の短縮版を作成し,妥当性を検討すること,③感情的well-beingの前期高齢者と若年者の差異を検討することである.方法は,関西圏の大学および専門学校に通う若年者(n=272),無作為抽出されたA県B市の前期高齢者(n=585)を対象とする質問紙法であった.分析の結果,感情的well-beingの因子構造は,集団間でおおむね不変であることが確認された.また,感情的well-being尺度の短縮版の妥当性や信頼性も確認され,7項目からなる感情的well-being尺度短縮版が作成された.その他,感情的well-beingは若年者よりも前期高齢者のほうが良好であることが示され,高齢期の適応に関するいくつかの理論の前提が,わが国において確認されたと考えられる.