インスリン注射を行っている糖尿病患者の負担感に影響を与える要因を明らかにするため,外来通院中の患者に質問紙法を用いた調査を行った.分析対象は284名.質問項目は,年齢,性別,病歴,HbA1c,BMI,病型,血糖測定方法,仕事の有無,同居人数,セルフケア行動で,糖尿病負担感はPAIDで評価した.糖尿病負担感とそれぞれの質問項目との関連について重回帰分析を行った.その結果,糖尿病負担感に最も影響する要因は,性別(女性)(β=0.191,p=0.002)であった.特に,仕事をしていない女性,配偶者と同居している女性,親と同居していない女性の負担感が大きいことが明らかになった.男女は,生物学的,心理社会的に異なるため,療養支援においては,性差を考慮した関わりが重要であり,女性糖尿病患者へは,少しでも負担感を軽減できるような支援が必要であると考えられる.