2011 年 18 巻 p. 27-42
筆者は、2009年10月よリイタリアの美術館・博物館と協働し、代表的な日本美術資料、特に浮世絵・絵画資料のデジタルアーカイブ活動をおこなっている。しかしながら、大多数の日本美術資料は未だ眠っているのが現状である。本稿では、これら在伊日本美術資料所蔵機関を対象にして執筆者が実施した聞取り調査を踏まえて、当該諸機関の収蔵品情報公開の現状を、法的制度やオンラインでのデータ提供を検討しながら報告する。次に、イタリアで起きている新しい動きである、地域におけるひとまとまりの文化資源情報発信の事例を通して、日本美術資料公開の課題と展望について考察する。