抄録
幕末から戦前期まで活躍した写真師や写真館に関する研究が進展してきたが、営業写真師や写真館に関する研究は現在発展途上であり、どのような資料を調査対象としてどのように整理と情報化を進めていくかについて検討を進めていく必要がある。そのため本研究では、明治から大正にかけて活躍した、冨重利平、小川一眞、丸木利陽に関係する写真資料を比較検討し、営業写真師や写真館に関する基本構造を分析する。その上で、営業写真師や写真館に関する資料は「(1)どのようなところに所蔵されたどのような資料を対象に調査をすべきか」、「(2)資料に関してどのような情報を取得し継承していくべきか」の二点について明らかにする。そのことによって、写真師関係資料を調査していく場合の調査範囲と情報化に関する新たな基本指針を提案する。