アート・ドキュメンテーション研究
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カタログ・レゾネ編纂と美術作品のドキュメンテーション
──『松方コレクション 西洋美術全作品』を事例として
川口 雅子
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2020 年 27.28 巻 p. 3-17

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抄録

 カタログ・レゾネ編纂における美術作品ドキュメンテーションの役割について、国立西洋美術館が2018年から翌年にかけて取り組んだ『松方コレクション 西洋美術全作品』編纂事業を例にとり考察する。国立西洋美術館は第二次世界大戦後、フランス政府から日本政府への松方コレクション引き渡しの条件として創設された美術館であり、そのことから松方コレクションの全容を明らかにし、カタログを編纂することは同館において重要な課題のひとつである。近年のカタログ・レゾネの傾向として、来歴データ等のエビデンス重視の傾向がみられるが、そのようなデータを収録するためには、美術作品に関する記録資料(ドキュメント)の集積すなわちドキュメンテーションが欠かせない。また来歴・展覧会歴・文献歴といった複雑な履歴データを取り扱うため、美術作品管理リレーショナル・データベースを応用し、編集工程の合理化を実現した。

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© 2020 アート・ドキュメンテーション学会
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