抄録
本稿は運動発達支援に関する現状と課題について論述したものである。すなわち、我が国には身体的不器用さを含めた運動問題を抱える子どもが少なくなく存在することが明らかになる一方で、必ずしも運動発達に関する先導的な理論的フレームワークに見合った支援が行われているとは限らない。そのような現状を運動の自己組織化理論を通して概説す
るとともに、個人と環境、課題の三要素からなるエコロジカル・モデルをもとに、運動発達に関するアセスメントや支援方法について概観した。また本稿において、ここでは十分に議論ができなかった運動に関する発達課題や、運動発達に関するアセスメント、支援方法についての科学的議論が、この発達支援研究をプラットフォームにして、活性化することが求められることを主唱した。