発達支援学研究
Online ISSN : 2435-7626
子どもを育てる親たちの発達
社会変動の中の「親たち」の変化を問うための序論
神谷 哲司
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2023 年 3 巻 2 号 p. 52-67

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抄録
本稿においては、日本における親発達研究を概観するとともに、現代日本において社会問題とされる児童虐待や育児不安といったものが社会的変遷の中で生じてきたものであるという子育て環境の情勢を踏まえつつ、2020 年代初頭の日本における「子どもを育てる親たち」の現状を探り、改めて「親の発達とは何か」を吟味するための論点を整理することを目的とした。そして、現代日本社会における子育ての変化と現状について、2022年11月から12月にかけてインターネットを介し、自由記述によるアンケート調査を実施した。得られた26名の自由記述についてKH coder(樋口, 2004)によって分析を行った結果、頻出した用語の共起語の分析から、1)保護者のネガティヴな表現、2)親や保護者の二極化に関する表現、3)支援体制の問題、4)ネット社会に関する表現の4 つのカテゴリーが抽出された。同時に、社会変動の中の親の変化をとらえることの難しさも指摘され、改めて、今後、現代的な親たちの発達の変化を問うために、できるだけ定義や意味が変容していない指標を多面的に用いる必要があること、ならびに社会の変化を複数の異なるサブシステム同士の相互影響の中で、多面的、多様な変化が生じていることを踏まえる必要があることが議論された。
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© 2023 日本発達支援学会
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