2010 年 10 巻 2 号 p. 2_22-2_40
地震調査研究推進本部により全国地震動予測地図が公表されている。地震ハザード情報の理解と活用を促進するには、地震リスク情報への変換が重要となる。本研究は、防災科学技術研究所の地震ハザードステーション(J-SHIS)による公開データに基づいて、全国の内陸地殻内地震(主要活断層帯154断層およびその他の活断層179断層に発生する固有地震)による地震リスクを簡易的に比較評価したものである。まず、距離減衰式に基づく地震動予測(簡易法)における予測式のばらつきを考慮した震度曝露人口の推計方法を提案し、各断層帯に適用して網羅的に震度曝露人口の推計結果を得た。計333断層の震度曝露人口と地震発生確率との関係を「P-PEX関係」として表し、これに基づいて地震リスクカーブを求めた。さらに、切迫度と影響度の重視度合いを連続的に考慮可能な一般化リスク指標を定義し、任意のリスク認知的傾向に対するリスクランキングを構成した。