日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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論文
2008 年岩手・宮城内陸地震において表層地盤の地震応答特性が低層RC 造学校建物の被害に与えた影響
三辻 和弥前田 匡樹松川 和人中神 宏昌
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2011 年 11 巻 5 号 p. 5_107-5_121

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抄録

2008年岩手・宮城内陸地震において、ほぼ同年代に建設されたほぼ同じ構造形式を持つ3つの小学校校舎の被災程度に大きな差があったことを、主に表層地盤の地震応答特性の違いから検討した。地震後に実施した常時微動観測、余震観測の記録分析から、唯一大きな被害のあった上野目小学校周辺の地盤は他2校に比べて建物の固有周期に近い周期帯で地震動が増幅することがわかった。また、上野目小学校の敷地には切土・盛土境界が含まれていることが推測され、盛土地盤の影響を考慮した地盤の等価線形解析及び、その結果を反映した建物の非線形地震応答解析からは、上野目小学校の地震被害の程度を説明するには、盛土地盤の非線形化による地震動の増幅を考慮する必要があることを指摘した。

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© 2011 一般社団法人 日本地震工学会
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