抄録
2011年東北地方太平洋沖地震で震度7が観測された栃木県芳賀町のKiK-net芳賀観測点周辺での強震動特性の空間的変動を理解するために、同観測点周辺地域で余震観測および微動探査を実施した。強震観測点の周囲2km程度の範囲に8点の余震観測点を設置し、中小地震による地震記録を取得した。得られた余震記録の分析から、表層地盤による増幅特性を評価した。多くの観測点で、基準点とのスペクトル比で周期0.2~0.3秒で卓越するピークが認められた。この卓越周期は、KiK-net芳賀観測点での中小地震の記録でも確認でき、表層地盤が及ぼす強震動の短周期成分への影響が顕著であることがわかった。さらに、余震観測点での微動探査によって、深さ30m程度までの表層地盤のS波速度構造を明らかにした。KiK-net芳賀観測点周辺の余震観測点では地盤構造に著しい変化はなく、モデルから期待される表層地盤の増幅特性でも周期0.2秒前後で卓越するピークが認められた。以上の検討から、KiK-net芳賀観測点で観測された地震動特性は、強震観測点の数百mの範囲の代表的なものと理解しても大きな問題がないことがわかった。