前論文では、近年我国で発生した強地震の鉛直アレー記録を用いて、30地点での表層地盤中の地震波動エネルギーフローをSH波重複反射理論に基づき計算し、エネルギーは波動伝播中にほぼ一定に保持されるとしてきたこれまでの認識とは異なり、基盤から地表に向かうほど低減する一般的傾向を明らかにした。ここでは前回の結果に基づき、隣接する上層と下層の間、さらに任意の層と鉛直アレー基盤層の間の上昇エネルギーの比を計算した。その結果、上昇エネルギー比が、地震基盤に近い硬質岩盤から地表付近の軟弱層に至るまで、対応する層間インピーダンス比のほぼ0.70乗に比例して減少することを見出した。この関係を使って、鉛直アレー最深部での上昇エネルギーから地震基盤での入射エネルギーを計算し、震源距離に対してプロットした。