抄録
本論文では、高知市街地(東西10.5 km×南北5.5 km)を対象として、周期1秒前後よりも短周期の地震動増幅特性を特徴づける浅層地盤モデルの構築結果を報告する。高知地盤災害情報評価委員会(2011)より公開されたボーリングデータ等の地盤資料を用いて、工学的基盤(S波速度 700 m/s)以浅の地下構造モデルを125 mメッシュの分解能で構築した。構築した地盤モデルより算出した表面波の位相速度は、著者らが実施した微動アレー観測の結果と良く一致すること、地盤モデルに基づく卓越周期の分布特性は、森ほか(2001)による既往の研究で報告されている、高知市街地の南北方向の2測線で行われた微動のH/Vスペクトルの観測値と良く対応すること、以上を確認した。さらに、中央防災会議(2003)の想定南海地震による地震動の計算波形を用いた地震応答解析を行い、工学的基盤に対する震度増分の空間分布が過去の南海地震の震度分布と概ね整合することを確認した。