2013 年 13 巻 4 号 p. 4_38-4_54
本論文は、建物モデルを事前にもたずに、限られた階の振動計測から全階の応答を予測する等価線形的手法を提案している。提案手法は、計測点で同定された刺激関数を利用して振動モード形を正弦関数に近似した後に、モード応答の重ね合わせによって応答を時刻歴波形として推定する。東京・新宿にある29階の超高層建物で記録された東北地方太平洋沖地震の加速度を用いて、手法の妥当性を検討している。ARXモデルによって得た3次モードまでの同定結果を用いて、最大加速度と最大変位の高さ方向の分布を推測した。実建物で問題となる同定モード次数と計測点の位置の影響も調べた。