2011年東北地方太平洋沖地震で被害のあったいわき市役所では、既往のボーリング調査結果から工学的基盤が傾斜していることがわかっている。本報告では、工学的基盤が傾斜しているサイトにおいて実施した微動観測から得た結果と、PS検層およびボーリングデータに基づく1次元構造から得られる計算値の対応について考察を行った。得られた知見は以下のようにまとめられる。1) H/Vスペクトル(特に谷の位置)は観測値と計算値とがおおむね対応する。2) 観測記録にCCA法を適用して推定した位相速度は、H/Vスペクトルの谷付近より高振動数側では計算値と対応するが、H/Vスペクトルのピーク周期付近では推定精度が低下する傾向にある。3) 得られた観測記録を使って逆解析を行った結果、基盤深度はボーリング結果に比べて深く推定されることを確認した。