抄録
確率論的地震動予測地図のハザード情報を用いて、日本全国を対象に過去から将来にわたっての地震の揺れによる住宅全壊リスクを試算した。起点年は、1890年、1920年、1950年、1980年、2010年、2040年である。試算にあたっては、各起点年における住宅データを推計するとともに、各起点年の全壊率関数をそれぞれ設定し試算した。試算の結果、我が国の地震リスクにおいて海溝型の地震が多大な影響を及ぼしており、地震リスクを時間軸で評価するという視点が重要であるとともに、建物の耐震性能や社会的要因の変化が日本の地震リスクの変遷に大きな影響を与えていることを示した。