抄録
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の際に大加速度と震度7が観測されたK-NET築館とKiK-net芳賀および建物被害が多くみられたK-NET古川・JMA古川において、観測点近傍及びその周辺での余震・微動観測記録の解析および数値シミュレーションにより、大加速度記録と表層地盤の関係について検討を行った研究を取り上げた。また、K-NET築館では地盤増幅とともに大加速度の成因となったと指摘されている地震計基礎の浮き上がり振動の影響についても取り上げた。表層地盤による増幅、深部地盤構造の影響、不整形性の影響、地形効果などを考慮して、既存の強震観測点での観測記録や臨時で観測された地震動や微動記録を説明する検討が行われ、用いる手法が異なっても、概ね共通の速度構造が得られることが分かってきたが、一意の構造が得られておらず、課題が残されている。さらに、地震動の空間的広がりについても、精力的な地震観測や微動観測より得られた記録から浅部および深部地盤構造の不整形性の影響が大きいことが改めて示された。