抄録
従来の距離減衰式で用いられている地盤増幅率を表す地盤増幅項は、表層地盤のS波速度(AVS30)や地盤種等で表されている。ただし、この地盤増幅率には地震規模によって大きなばらつきがあることが指摘されている。この問題を解決する為に、基盤強震観測網(KiK-net)を用いて、新たな地盤増幅項として、基盤岩に対する地表の地盤増幅比(最大加速度、最大速度)の回帰式の作成を試みた。地盤増幅比に対する地盤パラメータ(地盤の層数、各層の平均S波速度、層厚)の影響を検討するとともに、震源に関するパラメータ(地震規模)について、その影響を検討した。その結果、地盤増幅比は地盤パラメータだけではなく、地震規模の影響を大きく受けていることが確認できた。地震規模および地盤パラメータを導入した結果、地盤増幅比のばらつきを評価できる高精度な地盤増幅比の回帰式の作成が可能となった。