日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
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論文
高減衰定数を有するターゲットスペクトルに適合した模擬地震動の作成
深沢 剛司藤田 聡
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2018 年 18 巻 4 号 p. 4_75-4_90

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抄録

一般建築物や原子力施設等では,その構造の耐震健全性を評価するために,時刻歴応答解析が用いられている.時刻歴応答解析では,評価対象物の規格基準で定められたターゲットスペクトルを満たす模擬地震動が利用されることがある.このターゲットスペクトルは減衰定数が0.01から0.05程度で与えられる場合が多く,これに適合する模擬地震動を用いて,その減衰定数以外の構造物の応答を評価する場合,この解析で得られる応答のばらつきは大きくなる.この問題に着目し,異なる減衰定数のターゲットスペクトルに同時に適合させる手法として,模擬地震動の原波形に複数の補正波を挿入する手法が提案されている.しかし,免震構造物のように0.2~0.4程度の減衰定数下では補正波の干渉がターゲットスペクトルへの収束性に悪影響を及ぼすことから,これらの減衰定数と規格基準で要求される減衰定数のターゲットスペクトルを同時に満たすことは困難となる.そこで,本論文では,補正波の干渉回避に着目し,免震構造物で想定される高減衰定数下でも対応可能な手法を提示する.また,この手法を用いて,一般建築および原子力施設の規格基準で用いられるターゲットスペクトルを例に,その有用性を示す.

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© 2018 公益社団法人 日本地震工学会
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