2018 年 18 巻 4 号 p. 4_91-4_110
四時ダム(福島県いわき市,センターコア型ロックフィルダム,堤高83.5m)は2011年東北地方太平洋沖地震ならびに2011年福島県浜通り地震の強震動を受けており,本ダムで得られた長期間にわたる加速度記録はロックフィルダム堤体の動的物性を検討する上で極めて貴重な記録である.本研究では本ダムの観測記録にNIOM解析を適用し,強震動とその前後のS波の伝播時間の変化を検討した.その結果,(1)東北地方太平沖地震以前の伝播時間の0.153 s(平均伝播速度565 m/s)に対して,本震主要動では堤体の非線形挙動により最大で0.23 s(375 m/s)まで増加したこと,(2) この変化はせん断弾性係数が初期値のおよそ45%まで減少したことに相当し,その際の歪レベルは2~3×10-4程度と見積られること,(3)福島県浜通り地震においても東北地方太平沖地震と同様の伝播時間の変化がみられること,また,(4)堤体の内部減衰も本震主要動で増加し,主要動後に低下するが,この変化は伝播時間の変化と同じような挙動を示すこと,などを指摘した.